皆さんも一度はテレビや新聞で見聞きしたことがある「GIGAスクール構想」について今回は紹介したいと思います。そもそもGIGAスクール構想は何なのか、子どもたちが1人1台のパソコンを持つことでどんなメリットがあるのか、そして病気を抱える子どもたちの視点で考えたときの学び方はどう変わるのか、まとめてみました。
GIGAスクール構想とは
『GIGAスクール構想』とは、児童生徒向けの1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備し、多様な子どもたちを誰一人取り残すことのなく、公正に個別最適化された創造性を育む教育を、全国の学校現場で持続的に実現させる構想
どうしても予算額の大きい1人1台の情報端末(パソコンやiPadなど)整備に注目がいきますが、GIGAスクール構想には大きく4つの柱があります。
パソコンなどの情報端末を活用するために必要となる高速大容量の無線LANなどの環境整備、そして授業などで実際にICTを活用するために専門家(GIGAスクールサポーター)を配置する予算も確保されています。
さらに、新型コロナウイルス感染症など緊急時でも子どもたちが安心してオンラインで学ぶ環境づくりを整えるためのモバイルWi-Fi整備、WEBカメラやマイク、オンライン学習システムを整備する予算も含まれています。
この「緊急時における家庭でのオンライン学習環境の整備」が進むことで、自然災害という状況でなくても、小児がんなど病気を抱える子どもたちが入院中や自宅療養中でも安心して学べるオンライン学習環境づくりにも応用できるのではないでしょうか。
病気を抱える子どもたちの視点で考える(実現パッケージから仮説)
上記の図は、文部科学省のホームページにて公開されている「GIGAスクール構想による環境整備イメージ図」です。
学習用ツールがオレンジ色の雲(クラウド)にあるため、子どもたちは学校では授業で協働学習のためのソフトを使ったり、自由研究や探求学習などのグループ発表用のスライドを作成したり、表計算ソフトを使ってデータを分析してグラフを作ったりすることが可能になります。
また、自宅に帰ってからも学校の宿題をタブレットPCで回答したり、デジタル教科書を見ながら音読したり、デジタルドリルを使って苦手な単元を克服することもできるかもしれません。
平成29年に策定された『教育情報セキュリティポリシーに関するガイドライン』ですが、日進月歩の情報化社会に合わせてクラウド by デフォルトの原則を踏まえて令和元年12月に改訂され、紫色で囲まれた【遠隔教育】という部分が強化されています。
入院中の子どもたちの学びを支える「院内学級」もイメージ図に明記されており、GIGAスクール構想により様々な環境整備が進むことで、地元の学校の先生や友達とのつながりを維持・継続しながら、入院中でも地元の学校の授業や宿題に取り組んだり、クラスの友達と協働学習をすることも可能になるのではないでしょうか。
つまり、GIGAスクール構想の実現は病気を抱える子どもたちを含め、多様な子どもたちにとって、どこにいても距離関係なく安心して学べる環境づくりを進めるものであり、デジタルドリルなどを活用することで児童生徒一人ひとりの学習履歴を蓄積・分析することで理解できていない学習単元の学び直しなど、個別最適化された学びができるようになる学校教育のターニングポイントなのです。
まとめ
ご覧いただいたようにGIGAスクール構想が実現しようとしていることは大きなプロジェクトでありますが、一人ひとりの子どもたちに個別最適化された学習環境づくりという面では今まで以上にメリットが大きくあります。
一方で、これまで以上に一人ひとりの子どもたちにICTを活用して対応することになる学校教員の先生方の負担が増えては意味がありません。
実現パッケージのイメージ図にも記載されていますが、統合型校務支援システムが導入されることで、出席や成績管理、学習履歴の管理などを効率化し、できた空き時間で新しい学習教材を同じ教科の先生方と共同制作したり、一人ひとりの子どもたちと交流する時間に使っていただきたいと思います。
子どもたちだけがICT活用の対象ではなく、先生方も子どもたちのお手本としてICTを活用して新しい授業スタイルやグループ協働学習、電子黒板の活用など試行錯誤が始まると思います。
ぜひ、全国各地からGIGAスクール構想による新しい学びが発信・共有されることで、ICT活用が標準化されることを期待したいです。そして、病気を抱える子どもたちが突然の病気で入院したとしても、地元の友達と一緒に授業に参加したり、オンラインで社会科見学に参加したりなど、安心して学べる環境づくりにも応用して頂けるよう、私たちポケットサポートも関係機関との連携を進めていきたいと思います。