3月は卒業シーズン。2020は新型コロナウイルス感染症の影響で卒業式が取りやめになったところも多くありましたが、2021年は規模を縮小したり、全校での合唱を中止するなど様々な感染症対策をしながら卒業式が実施されました。
しかし、入院中の子どもの多くは病室から出られない状態のため、卒業式そのものに出席することができません。ポケットサポートでは今まで子どもたちの思いを叶えるため、卒業式や学習発表会等の学校行事を、病室にいる子に届けてきました。
交流支援活動で入院中のA君とリモートで繋いで話をしていたときのこと
「来週、卒業式なんやけど、このベッドから出られんからな。」
「このzoomとか使ったら、中継できるかもよ。」
今回もそんなやり取りから始まりました。
そこから実施に向けて大切になってくるのは、子どもの気持ち(意向)です。
「卒業式が見たい」けど、今の変わった容貌は見られたくない
「卒業式が見たい」けど、時運が病気で学校を休んでいることは知られたくない
「卒業式が見たい」けど、久しぶりに見る友達に何て声をかけたらいいだろう・・
子どもたちの思いは様々です。
そんな思いを抱えながらも、3年間通ったクラスの仲間たちと一緒に卒業を迎えたいと卒業式の中継に参加したA君から、イヤホン越しに届いた声
「あ、オレの席や。オレの席あった。」
ICTによる、テレビ会議システムなどを使い卒業式を中継することは、機材や技術的な面ではそこまで難しいことではなくなってきました。
しかし、子どもの気持ちを尊重しないと、彼らが本当の意味で「卒業式」を迎えることができた(卒業式を中継して貰えてよかった)とは言えない状況になります。
そのときにハードルになってくるのは、その子が通っている学校や周囲の理解。
本人の意思の確認や、学校側との調整など、卒業式の中継には様々な要素が絡んできます。
今回、関わらせていただいた学校の先生から「みんなあの子が卒業式出られないって、諦めていたんです。でも、NPO(ポケットサポート)の人が協力してくれるからできるって聞いて嬉しかった。だから、周囲の理解を求めることくらい大変じゃないと思ったんです。今、大変な思いしてるあの子のために何かできるなら。」と言われたことが印象的でした。
卒業式は卒業していく子どもためのもの。その子が「この学校に通っていて良かった。」「この学校を卒業出来て良かった」と最後に思えるような配慮に結び付く支援やコーディネートを、これからも心掛けていきたいと思います。