病気を抱える子どもたちの支援には、医師・看護師以外にも多くの職種の関係者が関わっています。病気を抱える子どもたちの生活・健康面・相談支援・自立などをサポートするさまざまな専門職。それぞれの専門知識と技術を活かして働いています。本記事では、それぞれの職種について詳しくご紹介します。どんな職種の人たちが関わる可能性があるのかを、いま一度学んでいきましょう。
生活面をサポートする職種
病気を抱える子どもたちの「生活」をサポートする主な職種は以下の3つです。
- ホームヘルパー
- 児童指導員
- 保育士
それぞれの職種を以下で詳しく解説します。
ホームヘルパー
ホームヘルパーは、居宅介護の専門職として、障がい害児や高齢者が自宅で生活するための身体介護や生活援助を提供する人です。具体的には、食事の準備・入浴介助・家事全般の手伝いを行い、患者や家族とコミュニケーションを取りながら、日常生活の支援を行います。介護職員初任者研修の資格が必要で、特に重度の障がいを持つ子供に対しては、食事や排泄などの特別なケアを提供し、家族の負担を軽減。医療機関や地域包括支援センターとの連携も重点的に行います。
児童指導員
児童指導員は、児童福祉施設に通所または入所する子どもたちの健全な育成を支援する専門職です。主な業務は、発達障がいや知的障がいなどの障がいを持つ子どもたちに対して、療育や生活指導を行うこと。児童発達支援や放課後等デイサービスなどの施設に通う子どもたちの自立や社会参加のため、個々の発達状況や障がいに応じた支援を提供します。また、虐待やネグレクトによって児童養護施設に入所している子どもたちには、保護者の代わりとして生活指導を行い、安定した生活環境を整えます。
保育士
保育士は、病棟や各施設に在中しています。病気や障がいを持つ子どもたちの保育を行い、安全で安心な環境を提供するのが役割です。また、保護者との連携を密にし、子どもの発達や健康状態に合わせた支援を行います。
健康面をサポートする職種
健康面をサポートする主な職種は以下の通りです。
- 栄養士
- 理学療法士（PT）
- 作業療法士（OT）
- 言語聴覚士（ST）
それぞれの職種を以下で詳しく解説します。
栄養士
栄養士は、子どもたちが健康な食生活を送れるように栄養指導を行う人です。特に、病気やアレルギーを持つ子どもたちには、個別の栄養プランを作成し、適切な食事を提供します。病院や施設などに在中しています。栄養士は、子どもたちの成長にとって重要な役割を果たし、栄養バランスの調整や食育活動を通じて健康増進を図ります。病気やアレルギーにより食事内容に制限が必要な場合は、医師の指示に基づいて食事をアレンジし、子どもたちが栄養を摂取できるようサポートしてくれるでしょう。
理学療法士（PT）
理学療法士は、子どもたちの運動機能を改善するためのリハビリテーションを担当。リハビリテーションプログラムを通じて、子どもたちの体力や運動能力を向上させる支援を行います。児童発達支援センターや保育所等訪問支援事業所などで活動し、個別のニーズに合わせたリハビリテーションを提供。理学療法士は、運動療法やストレッチング、マッサージなどの手法を使用して、子どもたちの身体機能を最大限に引き出す努力をします。
作業療法士（OT）
作業療法士は、日常生活の動作や学習活動を支援する専門職です。病気や障がいによって日常生活に支障が出る子どもたちに対し、適切な作業療法を提供し、自立した生活が送れるように支援します。児童発達支援センターや保育所等訪問支援事業所などで活動し、学校や自宅での日常生活で必要な技能を身につけるためのトレーニングを行います。作業療法士は、手指の動きを改善するための訓練や、日常生活での独立を促進するための活動を通じて、子どもたちの生活の質を向上させる役割です。
言語聴覚士（ST）
言語聴覚士は、言語やコミュニケーションに困難を抱える子どもたちに対して、発音や言語理解、コミュニケーションスキルの向上を図る訓練を行います。彼らは、子どもたちが効果的に意思を伝えられるように支援します。保育所等訪問支援事業所などで活動し、子どもたちがスムーズに学び、他者とコミュニケーションをとれるようサポート。言語聴覚士は、個別のニーズに応じて訓練プログラムを設計し、言語障がいやコミュニケーション障がいを持つ子どもたちの能力向上をサポートします。
相談支援・自立を助ける職種
相談支援や自立を助ける職種は以下の通りです。
- チャイルド・ライフ・スペシャリスト
- 小児慢性特定疾病児童等自立支援員
- ソーシャルワーカー
- 心理療法担当職員
- 保健師
それぞれの職種を以下で詳しく解説します。
チャイルド・ライフ・スペシャリスト
チャイルド・ライフ・スペシャリストは、病気や入院生活に対する不安や恐怖を抱える子どもたちを心理的に支援する専門職です。病院や医療施設で活動し、子どもたちがストレスなく治療を受けられるように遊びや教育活動を通じて精神的な健康をサポート。また、手術前後の説明や緊張を和らげるプログラムを提供し、子どもたちとその家族が安心して過ごせるように努めます。
参考サイト：一般社団法人日本チャイルド・ライフ・スペシャリスト協会
小児慢性特定疾病児童等自立支援員
小児慢性特定疾病児童等自立支援員は、特定の慢性病を持つ子どもたちが、自立した生活を送れるように支援します。医療機関・学校・家庭と連携しながら、個別のサポートプランを作成して実施。日常生活の中での自己管理や治療計画をサポートし、子どもたちの健康と生活の質を向上させるために動きます。
ソーシャルワーカー
ソーシャルワーカーは、子どもたちとその家族が直面する、さまざまな社会的問題を解決するための支援を行います。生活環境の調整や福祉サービスの利用をサポートし、子どもたちが社会的に安定した生活を送れるように努めます。また、家庭内の問題解決や虐待の防止、養育支援なども行い、子どもたちの安全と幸福を保護するのも1つの役目です。
心理療法担当職員
心理療法担当職員は、心理的な支援を提供する専門職です。病気や障がいによって精神的なストレスや不安を抱える子どもたちに対して、カウンセリングや心理療法を通じて心のケアを行います。家族との関係改善や適応困難の克服・ストレス管理などを支援し、子どもたちが健康的な心の成長を遂げられるようにサポートします。
保健師
保健師は、地域社会での健康支援を担当する専門職です。子どもたちの健康管理や予防接種、健康教育を行い、地域全体の健康増進に関わります。また、家庭訪問や保護者への相談支援を通じて、子どもたちの健康維持をサポート。地域のニーズに合わせた保健活動を展開し、子どもたちが健やかに成長できるように努めます。
まとめ
病気を抱える子どもたちの支援には、さまざまな専門職が関わっています。ホームヘルパー・児童指導員・保育士などが、子どもたちの日常生活を支えます。健康面では、栄養士・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士がそれぞれの専門知識でサポートし、子どもたちの体力や運動能力、コミュニケーション能力を向上。その他にも多くの職種の人たちが、病気を抱えるこどもやその家族をサポートする体制を整えています。
家庭内だけで悩まずに、さまざまな職種の人にサポートを受けながら過ごしていきましょう。
