今回は2月24日に岡山国際交流センター7階多目的ホールで開催された、ポケットサポートと公益財団法人ベネッセこども基金との協働による病気療養児支援・多職種連携フォーラム「子どもたちの心の声に寄り添う」〜病気と共に生きる子どもたちを支える仲間〜の、第2部パネルディスカッションの様子をお伝えします。
第2部のパネルディスカッションのタイトルは「病気療養する子どもと家族をみんなで応援しよう」というもので、病気療養児への支援団体4団体による取り組み紹介とディスカッションが13時30分から始まりました。
最初は各団体の取り組みの紹介です。
1番目は東京都の認定NPO法人「難病のこども支援全国ネットワーク」から事務局次長の本田睦子さんが発表してくださいました。電話相談からスタートして37年目を迎えた当団体は「相談活動」サマーキャンプなどの「交流活動」シンポジウムや研修会などの「啓発活動」レスパイト施設あおぞら共和国の運営をしています。当事者や当事者家族のニーズが高い「同じ病気の人と繋がりたい」という思いに応えるべく活動しておられます。
2番目は愛媛県松山市の認定NPO法人「ラ・ファミリエ」から理事の西朋子さんが発表してくださいました。相談支援事業として「地域子どものくらし保健室」で平日と第1・3土曜日、「ファミリーハウスあい」では第1・3金曜日に、病気のある子どもとその家族を対象に、自立及び就学・就労をはじめ生活全般の相談に応じています。また病気のあるお子さん・きょうだいさんが保護者から離れて一泊二日のキャンプをする「媛っこすくすく愛キャンプ」を毎年夏に開催しています。楽しいだけでなく、なにか学びのある活動になるよう心がけているそうです。

3番目は大阪市大東市のNPO法人「しぶたね」から代表の清田悠代さんが発表してくださいました。清田さんの横には、たねまき戦隊シブレンジャーのシブレッドも登場してくれました。真っ赤なコスチュームがなかなかお似合いです。しぶたねは、病気のある子どもの「きょうだい」のための団体で、寂しさや不安、自責感など、複雑な気持ちにぎゅっとふたをして頑張っているかもしれないきょうだいさんの安心が増えるように、たねまき戦隊シブレンジャーと共に2003年から、様々なイベントできょうだいさんたちを応援しています。家族はモビールのようにつながっていて、どこかのバランスが崩れるときは家族全員が影響を受けるので、家族まるごと支援の視点で活動しています。
最後は岡山県の認定NPO法人「ポケットサポート」の代表、三好祐也が発表しました。ピアサポート個別相談、岡山県各地での出張型交流イベント、またオンラインでの学習支援など、病気のある子どもたちに安心して遊んだり勉強したりできる仲間だと感じてもらい、時には「友だち」のような関係性を作っていくことを大切にしています。病気療養する子どもたちが安心して暮らせる社会づくりのための啓発活動としてYouTube配信でフォーラムも毎年開催しています。長期入院の子どもに対する支援のタイミングは、入院中、今、ここでの支援、復学時の支援、将来への支援の3つがあり、「つながり」を活かしながら包括的に病気の子どもたちを支援していきたいと思っています。
発表の後は、それぞれの団体へ「現在の課題」や「多職種の連携」について尋ねていきました。

課題に思っていることは、周知してもらえる伝え方、また支援につながるまでの難しさが挙げられました。SNSを利用した発信で軽い気持ちでつながってもらう、地域に実際に出向き、いろんな人にいろんな方法で知ってもらう、ちょっとした相談を大事にして何でも聞く姿勢をもつ、など参考になる取り組み方が紹介されました。他にも、いつも心に留めておきたい心構えも話の中に出てきました。
・主語が「自分」になっていないか 自分(支援者)のために活動するのではない
・その子の未来のためになっているかどうか、という視点を大切にしよう
・支援者ではなく、関わらせてもらっているという感覚をもとう
・プログラムにこだわり過ぎない プログラム消化が目的ではない
・言葉のシャワーを浴びせよう すべての言葉を拾ってもらえなくても、落ちた水滴が水蒸気になってその子を包んでくれる
・ピアサポートでは、程よい距離感を保とう
・スキを見せてもいい 話しやすい人であろう
・上から目線の話にならないように、フラットな関係でいよう
どの言葉も、長年病気の子どもたちやご家族に優しく寄り添ってきたからこその重みを感じました。
多職種の連携については、若い学生さんがイベントなどに参加して、心がやわらかいうちに病気の子どもたちの支援のことを考えてもらうことは住みやすい社会へとつながっていくので、学生さんも、そして企業の方々も大いに参加してほしい、という意見が出ました。
他にも自宅療養が続いているときの教育の結び付け方について、相談しやすいツールは何か、などの質問にもお答えしながら、あっという間に終了の時間となりました。
寒波の影響で帰りのバスが運休となってしまい、急遽電車で帰ることになったラ・ファミリエさんは時間を繰り上げて帰宅の途につくなど、ちょっとしたハプニングもありましたが、対面で、またオンラインで多くの方と集えたことに感謝しています。
ベネッセこども基金の事務局からも宇野さん、高橋さんが東京からお越し下さり、会場で盛り上げていただき、ありがたかったです。
皆様、フォーラムにご参加いただき、本当にありがとうございました!
次回のフォーラムの参加も心よりお待ちしています!!