寒の戻りで、厚手の上着が必要になった雨模様の3月15日(土)、岡山県生涯学習センターの中研修室で病気療養する子どものいる家族同士の交流&座談会を行いました。今回の参加対象は「小児がん」ということで、岡山県小児血液・腫瘍患者の親の会「あゆみの会」との協働開催です。
同じような療養経験がある仲間との交流ということで、今回は「あゆみの会」の運営委員会の方、同じくイベント担当の方、ポケサポ代表の三好、元看護師のポケサポスタッフが保護者の方と、ゆっくり2時間ほどお話をしました。
保護者の方が安心して座談会に参加できるように、一緒に来場したお子さんが別室で楽しく過ごせるような企画も準備していましたが、この度のイベントでは保護者の方だけでしたので、別室のポケサポスタッフはまた次回の出番を待つことにしました。
座談会を始める前に、それぞれの自己紹介を行いました。参加者には小児がんのお子さんの療養経験を持つ方々がおられるので、それぞれの家族構成や当時の背景、思いなどを紹介し合いました。
病気のことを子どもにどう伝えるか

最初に保護者の方から出た話題が「病気のことを子どもにどう伝えるか」でした。参加者の方は「がん」という言葉を使わずに「頭の中の悪いもの」という表現で病気の説明をしたようですが、子どもの病気療養を経験した保護者の方たちは、あえて告知するような対応はしなかったそうです。
では、子どもたちはどのようにして自分の病気のことを知ったのでしょうか。それは、テレビなどのマスメディアや、きょうだいや友だちからの情報で自然に認識していったようです。池江璃花子さんの白血病のニュースを見て白血病は血液のがんであることを知ったり、病気の深刻さを理解したり、そうかと思えば治療が終われば病気は治ると期待したり、自分の病気に対する子どもの反応も様々です。
ですから、病気の伝え方の正解は一つではありません。子どもの年齢や性格、その時の病状によっても違ってきます。こう考えてくると、病気の伝え方というよりは、子どもが自分の病気について知りたがったり、あるいは知ったりした時に、周囲の人たちがどのように支えていくのかをしっかり考えておくことだ重要だと思いました。子どもたちが自分の病気についてどのように感じているかを、親として理解しようとする姿勢も大切になってきますね。
子どもの病気に関する不安

続いて、「子どもの病気に対する不安」も話題になりました。小児がんと一口に言っても病状や治療内容は様々です。必ずしもすべての子どもが手術をするわけでもありません。参加者のお子さんは手術は受けず、経過観察で過ごしています。周りには経過観察で過ごしているといった、同じような療養経験をもつ同世代の家族がいないため、思いや悩みを共有できたり、子ども同士で関わったりすることができないのが残念だと言われていました。
その話を受けて、岡山県小児血液・腫瘍患者の親の会「あゆみの会」の活動の中で、年に数回ほど就実大学の森口先生やゼミの学生さんたちと小児がんの子どもたちやきょうだい児、家族が交流する場が設けられているという紹介がありました。
特にクッキングイベントが子どもたちには好評で、年齢の近い学生さんと子どもたちが一緒に活動することで、同世代で関われたり、自分の気持が素直に話せたりするような体験ができるかもしれないという情報を提供してくださいました。
その交流会では病気のことなどプライバシーに関しては聞き出すことはしないのがルールとなっているそうなので、あまり病気について触れてほしくない人でも安心して参加できそうですね。
その他にも様々な不安や悩み

その他にも、子どもの成長過程を見守る不安や、進学先をどのように選択するのがいいのかといった悩みなど、話は尽きないようでした。その中で、お子さんが病気療養を経験した保護者の方がお話しされた進路に関するエピソードで印象的だった話を一つ紹介しましょう。
長い間、病気療養をしていた子どもに主治医の先生がいつもかけ続けていた言葉は次のようなものでした。
「しっかり勉強しておくことは大事だよ。」
子どもにとって、ドクターからの言葉の影響は大きかったようで、自分の将来のために勉強をするんだという意識が芽生えたように保護者の方は感じたそうです。
世間では、病気療養中の子どもに勉強させるなんて酷だ、それよりゆっくり休ませてやることのほうが大事だという考えの人も少なからずいるのではないでしょうか。もちろんその時の状態にもよるとは思いますが、子どもが自分の将来に向けての目標をもつことは精神的に大きな支えとなります。
たとえ病気であったとしても学び続けることのパワーを後押しする大切さを、ドクターの言葉から教わったように思いました。
今回の座談会は終了時間があっという間に思えるほど、テーブルを囲んだ皆さんが和気あいあい楽しくお話しできたことが何よりの収穫だったと思います。参加してくださった保護者の方も、協力してもらえそうな人や場所の情報を共有できてよかった、そして今後もこのようなイベントを開催してほしいという希望をもってくださいました。
次回の座談会も、また計画しようと思います。どうぞご参加くださいね!