2020年8月2日にYouTubeライブ配信した「入院中でも子どもの学びを支え孤立させないオンライン支援」で、香川で病気を抱える子どもたちの支援活動をしている「NPO未来ISSEY」の吉田さんとのオンライン対談から子どもたちの学びを支える意味をまとめました。
入院治療だけでなく、学ぶことや遊ぶことの意味
小児がんは7~8割は治る病気になっていますが治療の副作用があり、治療優先だと考えてしまいがちです。医療の進歩で治療の段階が落ち着いたときに、日によっては元気であることもあり、そのときに子どもたちが求めるものが「学び・学習」だと語るNPO未来ISSEの吉田さん。吉田さんが考える病気を抱える子どもたちが入院中でも学ぶことや遊ぶことの意味を、わかりやすく5つのポイントでまとめてくださいましたのでご紹介します。
①学び続けること
保護者にとっては我が子の未来がある。子ども本人にとっては自分の未来があると信じている。病気を克服して未来を生きる子どもたちが、今すべきことが希望の証であり、治療が終わってからやりたいことを考えることが治療への前向きな意欲や希望にもつながる。
②入院中の非日常を、学びによって日常に戻してくれる
日常であれば宿題は子どもにとって嫌なもの。非日常の入院中で、学校に通うことができなければ宿題という嫌いなものが無くなる。学校に通うことや宿題をやることは、他の友達と同じ日常の生活であり、保護者にとっても「病気の子」ではなく「我が子」として見ることができ、日常と変わらない愛情をそそぐことができる。
③学ぶことは孤独を解消し人間関係を広げる
学ぶということは、一人だけでなく教師やボランティアなど多数の大人や同世代の仲間と交流しながら関わる機会となる。人間関係を広げコミュニケーションを取りながら、孤独感の解消や思いやりを育むきっかけにもなる。褒められること、励まされること、時にはケンカをしたり反抗したりすることも、貴重な経験であり困ったときに助けてくれる存在にもなる。
④学習習慣による自己管理
退院後の日常生活にスムーズに戻れるようにするためにも、早寝早起き、宿題をする時間、遊ぶ時間など子どもと相談しながら入院中の過ごし方を考える。子ども本人が自分の病気や治療に向き合うことだけでなく、薬を飲む時間、体調などの意思表示を医療者や友達・学校の先生などに伝えられることにもつながり、慢性疾病を抱える子どもたちの進学や就職の際にも大切なスキルになる。
⑤学力を下げない(学びを止めない)
入院中の学習空白をできるだけ少なくすることは、地元の友達との学習の遅れを防ぎ、子ども本人が自信をもって、スムーズな復学にもつながる。特に中学3年生は受験を控えており、志望校に合格するための勉強や、苦手単元の克服など学習時間はもちろん、学習内容の質も様々な関係者とフォローが大切になる。
まとめ
対談やライブチャットの質問でもあったように、義務教育を超えた高校生への支援拡充も体制づくりや仕組み化が必要だと感じます。小中学生と違い、様々な専門科目がありカリキュラムや指導教員も異なるため、オンライン授業をする技術・設備は整っても、実技や協働ワークなどの参加が難しいのが現状です。また、子ども本人が将来の夢に向かって就職や大学進学を考え、自らの意思で行動する社会人として自立する時期のため、保護者や医療者には分からない本人の気持ちを汲み取る難しさもあります。
今回の対談では香川で活動をするNPO未来ISSEYさんと、岡山で活動するポケットサポートのように、小児がんや心臓病などの慢性疾病を抱える子どもたちへの支援は個別性が高いため、柔軟な対応や、学校の先生方や教育委員会、医療関係者との連携や協力が必要不可欠です。
これまで私たちが日々の活動で支援してきた様々な子どもたちの事例やノウハウは蓄積されており、初めての難しい事例でも応用して提案したり、さまざまな地域支援団体と連携してサポートする体制ができていることは、私たちにとって大きな強みです。
ぜひ、教育関係者や医療関係者、そして病気を抱えるお子様のいる保護者の方で、学習や復学などにお困りのことがあったら、諦めずにお問い合わせいただきたいと思います。