今回は2020年度8~9月に実施したベネッセこども基金助成事業による岡山県内の小学校から高等学校および特別支援学校を対象とした、慢性疾病を抱える子どもたちの支援課題や支援事例を調査するアンケート調査結果から、学校現場の先生方のニーズや必要な支援策について考えていきたいと思います。
アンケート調査結果から見えてきた学校現場の課題
岡山県内の649校にアンケート調査票を配布し、全体の約42%となる273校より回答いただきました。設問3では長期療養を必要とする児童生徒へ必要だと思う支援を最大5つまでの選択式で聞きました。
外部有識者にご協力いただきあらかじめ想定される必要な支援を列挙して、最大5つまでの選択式で調査を行いました。上記のグラフのとおり重要視されている5つの必要な支援が可視化されました。
入院中から復学まで保護者と密に情報共有を行いながら児童生徒の体調管理や学校・友人とのつながりの継続を行うこと、そして、切れ目のない継続した学習機会の確保が3位となっています。
さらに、入院中の院内学級や入院施設との連携・情報共有も重要視されており、学校現場の先生方が保護者や医療機関など様々な関係者と連携しながら、子どもたちの学びを支えて頂いていること感じました。
一方で、学校現場の担任や保健室の先生の業務量や負担が増加していることも感じました。クラス運営や学校行事の準備、その他の校務などに加えて、保護者や医療機関との情報共有など復学に関する様々なコーディネート役を担っている状況です。
「病院で行われる調整会議への参加」「ICTを活用した遠隔授業」が必要と約16%の先生が回答されていますが、上位5つのうち、どれかを地域の支援団体などコーディネート役を担って頂ける方がいれば、実現できる可能性もあるのではないでしょうか。
長期療養を必要とする子どもたちに必要な支援として選択肢に列挙したものは、すべてが重要なポイントだと思います。ただ、すべての仕事を学校現場の先生に任せるのではなく、教育委員会や保健所、地域の支援団体やNPOなど、様々な関係機関と連携しながら役割分担をすることで、地域で療養しながら復学する子どもたちやご家族が安心して暮らせる社会になると思います。
ポケットサポートが支援を強化していくべき項目
私たちポケットサポートがお手伝いできる支援としては、「学習機会の確保」「入院中の院内学級との連携」「ICTを活用した遠隔授業」が考えられます。
入院中の子どもたちが宿題で分からないことがあった時にiPadを使って質問したり、学習支援ボランティアから授業をしてもらったり、院内学級と連携してテレビ電話を使った社会科見学をしたりなど、様々なアイディアや可能性が考えられます。
まだまだ前例のない試みであり、学校や教育委員会、医療機関や保健所など様々な関係者との連携や、制度的な壁など課題は多くありますが、一人でも多くの病気を抱える子どもたちが安心して治療にも学習も遊びも楽しみながら、復学できるようにサポートを続けていきたいと思います。
2021年2月28日(日)の13時からはYouTubeライブ配信にて、著名なゲスト2名にも今回のアンケート調査結果をご覧いただき、学校現場の課題やニーズ、今後の病気を抱える子どもたちの支援拡充についてトークセッション形式で参加者と一緒に考えます。
また、YouTubeライブチャットから参加者の質問も受け付けますので、みなさまのご参加をお待ちしております。現在で既に200名を超える参加申込を頂いており、今回の岡山での調査結果がきっかけとなり、全国各地で病気を抱える子どもたちの支援拡充が進むことを期待しています。