病気を抱える主に中学生から高校生の子どもたちは、進学先や卒業後の進路に対して葛藤や不安がたくさんあります。
突然の病気や長期入院により、学習が遅れてしまうこと、オープンキャンパスや職場体験に参加する機会、同世代の友達と意見交換することも、少なくなってしまいます。また、職業や勤務地などの選択肢の幅も、体力面や定期的な通院が必要なことから制限されることがあります。
今回はポケットサポートが2022年2月に制作した「病気を抱える中高生が教えてくれた未来への夢と希望」の冊子を制作するにあたり、インタビュー協力してくれた3名の現役中高生の生の声をもとに、改めて考えてみました。
ブログ記事の最後には「病気を抱える中高生が教えてくれた未来への夢と希望」全文をダウンロードして読むためのリンクも設置しています。ぜひ、最後までご覧ください。
この冊子は公益財団法人みんなでつくる財団おかやま2020年度 みんつく冠基金事業「福祉人財育成基金」の助成により制作することができました。
長期入院による家族や友達との孤立
病気やケガのため学校を30日以上の長期欠席している子どもたちは全国に約4.6万人といわれています。ポケットサポートが活動をしている岡山県内でも小学生から高校生まで約1,000人が対象です。
入院中は検査や薬による副作用など、苦痛を伴うことが多く子どもたちには、とても辛く苦しいものです。また、治療が計画通りにはいかないこともあり、予定していた入院期間を大幅に超えることもあります。
入院が長引けば何もできない時間が増え、子どもたちは「いつ退院できるのか」「学校へはいつ戻れるのだろうか」など、不安を感じる時間が多くなります。
両親に迷惑をかけたくないと考える思春期の中高生
入院が長期になればなるほど学習の遅れに対する不安が大きくなっていきます。
自分が入院している間も地元の友達はずっと勉強していることや、学校に戻った時に勉強についていけるか、志望校を受験できるかなど、子どもたちは学習の遅れをによる不安を感じてしまいます。
なかなか学校の友達や先生にも相談することができず、両親にも迷惑をかけたくないと思春期の子どもたちは一人で抱え込んでしまうこともあります。
だからこそ、私たちポケットサポートのような第三者的な存在である大学生ボランティアや、同じように長期療養を経験したことがある職員がピアサポート相談として、一人ひとりに寄り添いながら、ボードゲームや何気ない会話をしながら不安やストレスを解消してあげる必要があるのです。
入院による受験勉強の遅れ、そして焦りと不安
病気や治療の影響で体力面や行動制限から、進路の選択肢が制限されることがあります。
友達と一緒に全日制の高校への進学を希望していたが、主治医から体のことを考えて通信制の高校を勧められたなど、病気によって自分が思い描いていた未来が制限されしまうこともあります。友達とは違う進学先を選ばなければいけないという葛藤が子どもたちの中で起こります。
そんな時、あなたなら子どもたちに、どんな声をかけてあげますか?
同じように病気を抱えながらも、夢を諦めずに懸命に努力を続け、全日制高校への進学を諦めなかった事例は、今この瞬間も治療を続けながら受験勉強を続けている全国の中高生にとって、未来への夢と希望を届けることができると思います。
私たち支援者が子どもたちのためにできること
私たちポケットサポートは病気を抱える子どもたち一人ひとりの心に寄り添う支援を行っています。
長期入院による不安に関しては、長期療養の経験がある支援員や特別支援教育等を学ぶ大学生ボランティアがゲームや何気ない会話から、子どもたちの勉強や治療の悩みなどを聞いてあげることからスタートします。話を聞いてあげることで子どもたちが抱える不安が少しでも解消して、笑顔になってくれたらと願っています。
学習の遅れに関しては、入院中や自宅療養中の子どもたちに対してオンラインよる学習支援を行っています。教員免許を取得している支援員と大学生ボランティアが共に子どもたちの「わからない」に対して、一つ一つの問題を丁寧に解説していきます。
病気を抱える子どもたちの支援は地域や学年、病気も様々であり個別性が高いため、同じような事例が共有されにくい傾向にありますが、当団体には年間で約70件ほどの様々な相談事例に対応しています。また、岡山県内外から電話やメールにて、進路による悩み、友人関係、学校生活、病気による悩みなど、当事者家族はもちろん保健師や学校関係者からの問い合わせもあります。
お役に立てる情報や解決策のヒントを提示できると思いますので、お気軽にご相談ください。
今回ご紹介した「病気を抱える中高生が教えてくれた未来への夢と希望」の冊子全文に書かれている中高生たちの思いや葛藤は下記のボタンからダウンロードしてご覧ください。