※この記事は代表理事の三好祐也が対談のやりとりや対談ノートをもとに書いています。
詳細や細かなニュアンスを知りたい方は、対談の動画アーカイブをご視聴ください。
最初のトークテーマ、入院中の子どもに対して「学習意欲と社会性がある子どもであれば、ネット環境さえあれば解決するのではないか?」は前の記事をご覧ください。
NEXT GOAL(前チャイルド・ケモ・ハウス代表)楠木先生と対談「入院中の学習支援」①
後半はYouTubeライブ配信のコメントや楠木先生からの質問に次々と答えていきます。
入院中の子どもの学習支援についてというテーマで、切っても切り離せない「院内学級」(=病院の中にある、長期入院の子どもたちが通う学校・学級のこと)の話や、三好から楠木先生への質問で、長期入院時代の話題にも発展しました。
「この子の思いを叶えるため」に、いかに周りの大人が現行のルール上で柔軟に対応するか
Q:院内学級に来ている子が、地元の学校の授業を受けても良いのか?(二重在籍の問題について)
A:ポケットサポートの事例では、院内学級に学籍を置きながら、ある一定数、原籍校(地元の学校)交流する授業について参加している子がいます。学籍はひとつなので、「この子はいずれこの学校に戻っていく(退院して帰ってくる)子」という共通認識を両学校側が持つことが大切です。つながりを継続すること、すべては「円滑な復学に繋げる」ため、この子の望みがこういった形で叶えられていることがとても良いことだと思います。
Q:院内学級に在籍していて、原籍校の卒業証書を貰うにはどうしたら良いの?
A:「卒業証書を貰う」といった場合にどうしたら良いかとうと、一時的に転校させるという手段を取ります。卒業式の日程などは把握できる事なので、転籍という手続きを面倒と思わずに前もって動いておきます。ここで肝になってくるのは「本人が地元の学校の卒業証書を貰いたい」という気持ちを、医療者や家族など周りの大人たち、原籍校の先生方が知っているのかということです。まれに、本人が願っていないことを大人の事情で行ってしまう場合もあるので、「この子」の意思確認と、その思いの共有を関係者同士が図れているかが大切なポイントです。
入院中の話は共感の連続
ここまで、出席単位や院内学級と原籍校など「公教育」にまつわる話が多かったのですが、「学習支援」というワードには、学習空白を埋めるという純粋な機会提供や、学校に通うことができず、授業が受けられない、友だちと交流ができない状態の「この子自身を支える」といった側面もあります。
ここで、楠木先生に一度聞いてみたかった質問をぶつけました。
先生も学齢期に治療のため長期入院を経験された当事者ですが、入院治療中に学習意欲やモチベーションをどうやって保っていましたか?
入院中はとにかく暇やったから、テレビもマンガも見て、麻雀も覚えたりした。それでも、時間が余るくらいで、あの頃は勉強するくらいしかすることがなかったな。勉強は終わりがないから。勉強が嫌いっていう子は、どこかのタイミングでレベルが合わなくなるとか、何かしら理由があってしたくなくなるんじゃないかと思う。勉強が嫌になるきっかけがあるはず。
学校の科目とかは別にして、全て「勉強」というのであれば、何かについて学ぶことが嫌いな人はいないはずやから。
今の時代に入院してたら、AmazonやTverもあるから、そんなんめっちゃ見てたと思う。アプリやYouTubeで神授業も受けられるし、めっちゃ得した気分で学校の授業よりも有効に使えたんじゃないかと思う。負けず嫌いで「入院してたのにめっちゃできるやん」って言われたかったし。
楠木先生の入院中のエピソードから、学習支援・院内学級の位置づけ、同じ境遇(ピア)のつながりの重要性も見えてきました。
先生と同じように一緒に入院してた、同世代の友達はいましたか?
ちょうど同い年の子が入院していて、同じ部屋にしてくれたことがあった。
その後、プライベートでも仲良くなって。実はその子も今、医師をしているんよ。
同級生が近くにいることが刺激になった。(病気の自分でなく)普通の若者として過ごせた。
あの時、病気になっている人という位置づけにされたら、「勉強なんかせんでいい」と思ってしなくなったのではないか。逆に(友人の存在があって)中学生・高校生という位置づけにされたから「勉強するんが当たり前やん」となったと思う。
病気のある子ども同士がつながり、退院する子を見送る瞬間や入院時代の友達との再会などを通して、自分の立ち位置や病気がありながら日常生活をおくっていくモチベーション、今後の自分の在り方を考える場となるのだと。病院の内外で病気を抱える子ども同士がつながり、友だちやコミュニティが形成されることによって、「ひとりじゃない」と本人が感じられること。強いては、それが学習意欲や生きる力につながっていくのだと、改めて思いました。
このお話の中では、三好が検査入院した時の病院での過ごし方や、リアルタイムで届いた院内学級の先生からのメールに答えてそこから楠木先生が発展させたりと、様々な展開がみられました。
楠木先生とポケサポが、知って欲しい共通のこと
楽しい対談の時間もあっという間で、最後にポケットサポートの活動のお話をさせていただきクロージングとなりました。
入院しながら、治療をしながらも、学びたい、友だちと交流したいと思ってる
子どもたちがいることを、大人が知ることが大事ですよね。まだ治療優先だったり
「病気が良くなってから、学校来ればよい」というのが根強いです。
ほんまに、みんな知らんのかな?興味ないんかな?
僕らこれまで、こんな話、何千回としてきたやん。
それでも、まだまだ言い続けていかないとね。
最後に三好がNETXT GOALのテーマ「でも、頑張った」をお話して終了しました。
2回にわたって記事にしたお話の詳細は、YouTubeアーカイブ動画をご覧ください!