子どもが長期の入院や闘病が必要な難病になった場合、病院へ通院や付き添うための親の交通費は医療費控除の対象になるのでしょうか?
自宅近くの病院への交通費であれば、料金もそこまでかからないかもしれません。しかし、自宅から離れた場所や県外にある病院へ付き添う場合は、料金がある程度高くなる場合も考えられます。
今回は、難病の子どもの付き添いや県外の病院への交通費は医療費控除の対象になるのかを解説します。交通費以外にも医療費控除の対象になる子どもの入院関連費用もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
子どもの入院付き添いのための親の交通費は医療費控除の対象になる!
結論から言うと、子どもの入院に付き添う親の交通費は、医療費控除の対象です。ただし、以下のように、医療費控除の対象となる要件がいくつか定められています。
- 患者が1人で通院することが危険な年齢や病状であること
- 患者が通院する場合に付き添う交通費は対象となる
- 入院している患者のもとへ行くための交通費は対象外
さらに、医療費控除の対象となる交通手段も限られるので、下記で詳しく解説していきます。
参考サイト:国税庁「患者の世話のための家族の交通費」
医療費控除の対象となる交通手段は限られる?
医療費控除の対象となる交通手段は、どれでもよいというわけではありません。
以下で順番に、どの交通手段が医療費控除の対象となるのか確認してみましょう。
⚪︎電車やバス
電車やバスの交通手段は、医療費控除の対象となります。ただし、領収証がないと医療費控除を受けられないため、履歴や記録を残しておきましょう。
参考サイト:国税庁「医療費を支払ったとき」
⚪︎新幹線や飛行機
新幹線や飛行機代も、医療費控除の対象になることがほとんどです。ただし、新幹線や飛行機を使用して通院する遠隔地の病院でないと、病気に対する治療が受けられないといった理由が必要になります。
つまり、県外の病院の交通費が医療費控除の対象となるかは、グレーです。
参考サイト:国税庁「遠隔地の病院において医師の治療を受けるための旅費」
△タクシー
タクシーは、電車やバスなどを利用できないなど、特別な理由がない限り、医療費控除の対象になりません。ただし、公共交通機関が使えない正当な理由がある場合は、対象となる場合もあります。
参考サイト:国税庁「病院に収容されるためのタクシー代」
✖️自家用車
自家用車で通院する場合は、ガソリン代・駐車場代・高速代などは医療費控除の対象にはなりません。住んでいる地域や病状によっては、車の利用をしたい場合もあるかもしれません。その場合は、タクシーを利用しましょう。
参考サイト:国税庁「自家用車で通院する場合のガソリン代等」
医療費控除の対象となる子どもの入院関連費用
交通費以外にも医療費控除の対象となる子どもの入院関連費用はあるのでしょうか。主に対象となる費用は以下の3つです。
- 付き添いする人への付き添い料
- 入院中に病院から支給される食事代
- 医療用具の購入・貸借費
それぞれについて詳しく解説します。
付き添いする人への付き添い料
付き添いする人を頼んだ場合の「付き添い料」は、医療費控除の対象となります。ただし、所定の料金のみが対象です。親族へ「付き添い料」という形で支払った料金や、付き添いする人への心付けは対象外となります。
参考サイト:国税庁「医療費控除の対象となる入院費用の具体例」
入院中に病院から支給される食事代
子どもが入院中に支給される食事代は医療費控除の対象となります。部屋代も同様です。
参考サイト:国税庁「医療費を支払ったとき」
医療用具の購入・貸借費
医療用具の購入や貸借費は、医療費控除の対象です。治療を受けるにあたって、直接必要となるわけではない、眼鏡や補聴器などの購入費は対象外となります。
参考サイト:国税庁「医療費を支払ったとき」
医療費控除の対象とならない子どもの入院関連費費用
医療費控除の対象とならない子どもの入院関連費用もご紹介します。
- パジャマ・洗面具などの身の回り品の購入費
- 医師・看護師等に対するお礼
- 患者や家族の都合による個室ベッドの差額
- 入院中に出前や外食をした場合の飲食代
以下で、詳しく解説します。
参考サイト:国税庁「医療費控除の対象となる入院費用の具体例」
パジャマ・洗面具などの身の回り品の購入費
入院するときに、パジャマや洗面具などの身の回り品を購入する場合がありますが、これらは医療費控除の対象となりません。
結核児童に対する「結核児童療育医療給付」では、入院期間に応じて、学用品や日用品を支給してもらえます。該当する場合は、利用を検討してみてください。
医師・看護師等に対するお礼
医師・看護師等に対するお礼は、医療費控除の対象外です。
患者や家族の都合による個室ベッドの差額
患者や家族の都合で個室に入院した場合の個室ベッドの差額は、医療費控除の対象外です。
入院中に出前や外食をした場合の飲食代
病院から支給される食事代は医療費控除の対象ですが、病院から支給されたもの以外の食費は対象外です。
医療費控除を受ける際の注意点3つ
医療費控除を受ける際の注意点は以下の3つです。
- 医療費控除を受けるためには「確定申告」が必要
- 乳幼児・子ども医療費助成を受けた分は差し引く必要がある
- 高額医療費・生命保険などで受け取った給付金も医療費から差し引く
それぞれの注意点をしっかり確認してください。
医療費控除を受けるためには「確定申告」が必要
医療費控除を受けるためには「確定申告」が必要です。「生計を一」にする子どもにかかった医療費は、申告者(保護者)の分と合計して申告します。
基本的には、医療費が1年間で合計10万円を超える場合に、医療費控除が可能となります。
乳幼児・子ども医療費助成を受けた分は差し引く必要がある
乳幼児・子ども医療費助成とは、各自治体で行っている子どもの医療費を助成する制度です。0歳〜18歳まで利用できる自治体が多いです。
乳幼児・子ども医療費助成を受けた分は、医療費から差し引いて確定申告する必要があります。
高額医療費・生命保険などで受け取った給付金も医療費から差し引く
健康保険組合から支払われる「高額医療費」や「生命保険などで受け取った給付」などを受け取っている場合は、医療費から差し引く必要があります。
確定申告を提出するまでに受け取っていなかったとしても、受け取る予定の見込み金額を支払った医療費から差し引いておく必要があるため、注意しましょう。
まとめ
子どもの通院に付き添うための交通費や県外の病院の交通費は、医療費控除の対象になることがわかりました。
ただし、住んでいる場所や病状、その他さまざまな要件により、医療費控除の対象となる部分が変わってきます。詳しくは、所轄の税務署に確認してください。