新学期スタート時に気をつけたい子どもの様子 ~見逃さないで「そのサイン」~

コラム

新学期は、子どもたちにとって新しい環境や人間関係が始まる時期です。大きな期待と同時に、不安やストレスを感じることも少なくありません。

特に、小児がんや心臓病などの慢性疾患を抱える子どもたちにとっては、環境の変化が心身に与える影響が大きくなることが考えられます。

体調管理や周囲の理解などが追加される場合も多いです。保護者や教育関係者、医療従事者が子どものストレスサインを見逃さず、適切に対応していくことが大切になります。

本記事では、子どもたちのストレスサインにいち早く気づき、適切な対応をするために必要な知識をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

子どものストレスサインとは

子どもがストレスを感じているときには、サインとしてあらわれることがあります。そのサインをストレスサインと言います。そのサインは人それぞれ。では具体的に、どんなサインがあるのでしょうか?

身体面・感情面・行動面において、現れやすいサインをそれぞれご紹介します。

身体的なサイン

  • 睡眠:寝つきが悪い・夜中に目が覚める・早朝に起きてしまうなどの睡眠障害が見られることがあります。

  • 食欲不振:食欲が低下し、食事の量が減ることがあります。

  • 身体の痛み:頭痛・腹痛・胸痛など、特定の原因が見当たらない身体の痛みを訴えることがあります。

感情的なサイン

  • 情緒不安定:イライラしやすくなったり、攻撃的な態度を示したり、逆に落ち込んで元気がなくなることがあります。

  • 不安や緊張:新しい環境や人間関係に対する不安や緊張感が強まることがあります。

行動的なサイン

  • 活動の変化:好きだった遊びや趣味に興味を示さなくなる・学校や習い事を休みたがるなどの行動の変化が見られることがあります。

  • コミュニケーションの減少:家族や友人との会話が減り、孤立しがちになることがあります。

以上のように、さまざまなストレスサインがあります。

ストレスの原因となる出来事

子どもがストレスを感じる原因はさまざまですが、主に新学期・転校・引っ越し・家族の健康問題などが挙げられます。特に、慢性疾患を持つ子どもたちは、これらのできごとがストレスの引き金となることが多いです。子どもがストレスを感じる具体的なシーンを、以下で解説します。

後ほど、これから紹介するストレスの原因にどう対処したらよいのかもお伝えしますので、ぜひ続きを読んでみてくださいね。

新学期

新しい学年の始まりや進級は、子どもにとって環境の変化を伴う大きなできごとです。新しいクラスメート・教師・授業内容への適応が求められるため、これらがストレスの原因となることがあります。

特に、新しい体験が苦手な子どもは、新学期に対して強い不安を抱く傾向があるので、注意して見守りましょう。

転校や引っ越し

慣れ親しんだ環境から離れ、新しい学校や地域に適応することは、多くの子どもにとって大きなストレスとなりえます。新しい友人関係の構築や生活習慣の変化に対する不安が、心身の負担を増加させる要因となります。

家族の健康問題

両親の不仲・経済的な問題・家族の健康問題など、家庭内の状況なども子どものストレスを強める可能性が高いです。特に、家庭の事情で転校しなくてはならない場合、子どもは学校と家庭の両方で緊張状態が続き、安心して過ごせない状況に陥ることもあります。

友人関係の問題

友人とのトラブル・いじめ・仲間はずれなど、人間関係の問題は子どもにとって深刻なストレスの原因となります。特に、自己主張が苦手な子どもや内向的な性格の子どもは、これらの問題にうまく対処することが難しく、強いストレスを感じやすい傾向があります。

学業や習い事のプレッシャー

テストで良い成績を取ることへのプレッシャーや、習い事での成果を求められることも、子どもにとってストレスの原因となります。特に、完璧主義の傾向がある子どもや、親からの期待が高い場合、これらのプレッシャーはさらに増大します。

身体的な成長や変化

思春期における身体的な変化や成長に対する不安も、子どものストレスの一因となります。特に、女子の場合、初潮やホルモンバランスの変化により、精神的に不安定になることがあります。

生活リズムの乱れ

長期休暇明けや新学期の始まりなどで生活リズムが乱れると、子どもは疲れやすくなり、ストレスを感じることがあります。特に、夜更かしや朝寝坊が続くと、学校生活への適応が難しくなります。

自然災害や社会的な出来事

地震や台風などの自然災害、社会的な事件や事故なども、子どもにとって大きなストレスとなります。これらの出来事は、子どもの安心感を脅かし、不安や恐怖を引き起こす原因となります。

ストレスサインを見逃さないために

子どもたちのストレスサインを見逃さず、早期に対応するためには、保護者は日頃どのように子どもと関わるべきなのでしょうか。注意したい点を以下で解説します。

日常的に観察する

日頃から子どもの様子を観察していれば、いつもと違う行動や態度が見られた場合に早期に気づけます。先述した「子どものストレスサイン」を頭に入れておき、適切な対応をしていきましょう。

コミュニケーション

子どものストレスサインに気づくためには、子どもとの日常的なコミュニケーションも大切です。自分の気持ちや悩みを話しやすい環境を日頃から作っておくことで、悩みがあるときにも気軽に相談できるようになります。

専門家への相談

子どものストレスサインが続く場合や、深刻な様子が見られる場合は、学校のカウンセラーや医療機関の専門家に相談するのもおすすめです。

​学校内のカウンセラーは、主に、子どもの学校生活におけるストレスや問題に対してのサポートやアドバイスを提供してくれます。小児科医や児童精神科医などの専門家は、子どもの心身の健康状態を評価し、必要な治療や支援を行ってくれるので、子どもの状況に合わせて相談先を選びましょう。

学校との連携を強化する

教師や学校スタッフと連携し、子どもの状況を共有することも重要です。​子どもの家庭での様子や変化を学校側に伝えることで、学校でも適切な対応が取れるようになります。​特に、子どもが持病を抱えている場合は、まめに連絡を取り合いましょう。

子どものストレスサインに関する書籍

子どものストレスサインについて理解を深めるための書籍を以下に紹介します。

『子どもの心をストレスから守る本』

子どもの行動や体調の変化は、心からのSOSかもしれません。​本書は、子どものストレスサインの見つけ方から具体的な対応法までを、わかりやすく解説。​「眠れない」「食べない」「遊ばない」といったサインが長く続く場合、心の問題が潜んでいる可能性があるのです。

​本書では、そうしたサインを見逃さず、早期に対応することの重要性を強調しています。​また、親が子どもの行動の背景を理解し、適切なサポートを行うための具体的な方法も紹介されています。

『園生活での子どものストレス対処法』

保育園や幼稚園での子どものストレスサインに気づき、子どもと共に対処する方法を解説した書籍です。​お腹が痛い、頭が痛いなどの身体の不調、園に行きたくないと泣く、お友だちをたたく、急に部屋を飛び出すなどの症状・行動は、子どものストレスサインかもしれません。

​本書では、さまざまに現れる子どものストレスサインに気づき、子どもと一緒に考え、解決に向けて取り組む方法を、場面事例でわかりやすく解説。​また、保護者との情報共有の仕方や、保育者自身のストレスマネジメントについても具体的に提案しています。

保護者自身のメンタルヘルスも大切に

子どものサポートを行うためには、保護者自身の心身の健康も重要です。​自分自身のストレスケアを行い、リラックスできる時間を持つことで、子どもによりよいサポートを提供できます。

​新学期は子どもにとって多くの変化が訪れる時期です。​保護者や教育関係者が子どものストレスサインに敏感になり、適切なサポートを行い、子どもたちが安心して新しい環境に適応できるようにしていきましょう。

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