ポケットサポートの学習支援・復学支援活動では約30名の学習支援ボランティアが活躍してくれています。教育や医療・福祉などを学ぶ大学生が中心で、一人ひとりの子どもたちに寄り添いながら、医師や看護師、家族でもない立場として、病気を抱える子どもたちの学習面だけでなく、生活面や心理的なケアを手伝ってくれています。
今回は、そんな学習支援ボランティアの意見なども紹介しながら、学習支援ボランティアの役割などを説明したいと思います。
学習支援ボランティアの役割
既にご存知の方も多いと思いますが、ポケットサポートでは小児がんや心臓病など慢性疾病を抱えている子どもたちが入院している病棟へ出張したり、退院後に学習・交流できる支援拠点の運営をしています。
病気を抱える子どもたちと接することになるため、感染症や手足の不自由、学習や発達の遅れなどに配慮しながら、学習支援や知育ゲームなどを活用した相互交流支援を行っています。
食事制限などの生活制限や身体的な障害がある子どもたちと一緒に勉強をしたり、遊んだりしてコミュニケーションを図りながら、安心してボランティアと楽しめる場所になればと思っています。
学習支援ボランティアには、そんな子どもたち一人ひとりの気持ちや感情に寄り添いながら、温かく見守り、応援してくれる存在でいてほしいと考えています。
子どもたちが将来への希望をもって生活できるように
学習支援ボランティアの初回研修では、下記の6つを意識してボランティア活動に取り組んでほしいと伝えています。
- 目を見て笑いかける
- 子どもたちを心から迎える
- 積極的に子どもたちに関わる
- 迅速で確実な対応に努める
- 子どもたちに感謝して、何が自分にできるか考える
- ボランティアとしての自覚と責任を持った行動をする
どの項目も文章にすると簡単そうに感じますが、実際のボランティア活動で実践するのは難しい項目もあると思います。常にこの6つを活動前に読み返して意識することで、少しずつでも実践できることを期待しています。
子どもたちの気持ちに寄り添うためのフォローアップ研修
ポケットサポートを利用する子どもたちの病気や状態、年齢は様々です。そんな個別性の高い子どもたち一人ひとりの状況に応じて、臨機応変に対応できるようにするためには、予めシミュレーションしておくことが大切だと考えています。
子どもたちの気持ちを理解するために
ポケットサポートでは少人数でのグループワークを取り入れた声掛けの練習や、ディスカッション、外部講師にお願いして子どもたちの心理的なケアについての知識も座学で開催しています。
研修の一例として、2019年4月29日にNHKで放送された番組、東京・世田谷区にある国立成育医療研究センターで2日間の手作り出張ラジオ局を開設する「病院ラジオ」を視聴して、インタビューを受ける子どもたちの本音を聞いた感想を学習支援ボランティアで共有しました。
研修に参加した学習支援ボランティアの感想
「勉強は嫌だけど会いに来た」と言われる教師になりたい。病気のことを意識しすぎて変に気を使った接し方をするより、一人一人の子どもたちの素直な思いを引き出せる距離で接したい。
子どもたちのために養護教諭としてできることは何か。子どもたちは自分の病気のことを「これが自分だ」と前向きに考えている。今まで健康であった自分が養護教諭として何ができるのか考え、もっと深く知りたいと思う。
子どもたちは病気をひとつの個性ととらえて、将来への夢を持ち、前向きに生きる姿勢にパワーと勇気を感じた。自分の想いを正直に相手に伝えることができるように、子どもたちひとり一人に寄り添った支援をしたい。
病気を抱える子どもたちと接するとき、過度に気を使ってしまうこともある。もちろん、気をつけないといけないこともあるが、まずは相手に興味を持って、それが伝わるように接することが大切だと思った。子どもたちを笑顔にできる存在になりたいと思った。
まとめ
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
小児がんや心臓病などの慢性疾病を抱える子どもたちは、たくさんの我慢や苦労をしてきていると思います。ですが、どの子も一人のかけがえのない「子ども」です。友達と同じように勉強したり、外で走ったり、修学旅行や運動会に参加したいと願っています。
「どうして自分だけが・・・」
そんな風に落ち込んでしまっている子どもたちもいます。学習支援ボランティアの存在は、そんな子どもたちの気持ちに、そっと寄り添いながら病気のことを少しでも忘れて笑顔になれる時間を作ってくれると期待しています。
今回の記事が各地域で実践されている病気を抱える子どもたちの学習・復学支援活動の参考になれば幸いです。
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