前編に引き続き、ポケットサポート設立当初から、応援してくださっている秋山さんにお話を伺いました。後編では、秋山さんご家族のきょうだいの思い、これからの未来についてお話をしました。
母親は入院付き添い。自宅にいる「きょうだい」たちへの思い
アルバムをめくると、きょうだいと楽しく写っている写真。みんなお母さん手作りの浴衣を着ていました。
きょうだい(支援)は、本当に難しかった。
私、息子が生まれてすぐに、次女が病気になったから、その子を乳児院にいれなければならなくて。40人定員満員の中、保健師さんも含めて懇願して「この子のお母さんは必ず戻ってくる人だから」ってお願いして、41人目で入れてもらったの。
そうだったんですね。
それは本当に保健師さんのお力と、その「戻ってくる」っていう強い思いとがあってできた事だったんですね。お姉ちゃんもいましたよね。
うん。女の子3姉妹の真ん中があの子だからね。松本先生の『生きる力』の本に淡々と文章綴ってるのあるでしょ。あれがお姉ちゃん。
次女が入退院を繰り返して、気持ちが離れていくのが良くないと思ったから、できる限り彼女たちには一緒にいる時間を作ってあげようと。娘が調子悪くなっていく中でも、最後まで関わらせてあげようと、私はわざと画策してた。
良く会いに来られてましたもんね。
おうちも遠いところだったけど、姉妹本当に仲良いんだなぁって思ってました。
地元にいる医療関係者の人でもわかってもらえないこともあってね。
娘が本当に調子悪い中、地元の寄り合いにつれて行った時に、抗がん剤の影響で髪も抜けちゃってて。そしたら「こんな状態の子を他の子がみると不安になるから」って子どもたちの前で言われたことがあって。
けど、自分の娘たちにはきっとその経験が悪いことにはならないと心にきめて、どんな状況であれ関わらせてたの。
娘さんたちが綺麗な衣装をきてギターを弾いている写真を見ながら
三好くん、いつも病院でギター弾いて歌ってくれてたでしょ。
それ見てカッコイイな〜と思って、娘が亡くなったあとに、私が一緒に女の子たちきょうだいにギターを習わせたの。いろんなところに演奏に行って、スペインまで娘たちは演奏旅行にまで行ってね。衣装も全部手作りして。
あのときは気を紛らわせるしかなかったから、無理矢理にでもギターを通してでも、一緒に居られる時間を過ごせるのが良かった。ステージにもきょうだいみんなで立ったりして、10年くらいギターしてたかな。あの2年を取り戻すために。
病院にギターのコンサートに来てくれたこともありましたもんね。
一緒に演奏したりしたのも本当にいい思い出で。お姉ちゃんたち大きくなってからは、僕なんかよりはるかに上手かったですから!
絵本の読み聞かせに地元の学校へ行ったのね。次女のクラスに。
そしたら、娘の友達の子に「なんでおばちゃん、Aちゃん死んじゃったのに泣かないの?」って言われて。本当は思いっきり泣きたかった。
けど、泣いてしまったら、それは次女のための涙になるよね。他にきょうだい3人いるのに、その子のためだけに泣いたら、他の子たちが「あ、お母さんは私たちの方向いてない」って思うだろうから。
その学校の友達には「なんでだろうね、ハハハ・・・」って苦笑いで返すしかできなかった。
写真アルバムを開くと、白い紙に折り紙の細工と娘さんが書いた
「お母さん これからも よろしく がんばって!」と書かれた紙が出てきた。
このメッセージ今まで気づかなかったけど、ずっと応援されてたんだね。
よろしく!頑張って!なんて、笑えてくるわ。
よろしくされてるんだから、頑張らないと。
ポケットサポートの活動への思い
あのときの経験があったから、今があると思ってるし、思いっきりやったから亡くなったあとも、本当に悔いはないの。
プレイルームでボランティア始めたのも、三好くんたちが頑張ってる姿をずっと見てきたから。病気の子どもたちは再入院、再々入院してくる子も多いでしょ。そんな子達が「あのボランティアさんは?」って言ってくれるような関係もできたし。
僕らも本当にそうです。自分たちの経験を今の子たちにどうやって活かしていけるか。そういう思いでポケットサポートを立ち上げました。
何度も病院を行ったり来たりする子たちは、病院に「居場所」をもっている子も多いですし。
院内学級とかもそうだけど、こういう活動は、(子どもも含めて)2人(以上)いるからいいのよね。勉強って1人でするものじゃない?でも、「学ぶ」って行動は2人以上いるからできることだって思うの。
だから、交流っていうのは大事!院内学級も「あ〜あいつもがんばってるんだから、オレも頑張ろうって思える。それが力になる。
本当におっしゃる通りです。僕らの思いもそのままです。
私は今、グループホームの仕事が一生懸命で、ポケットサポートに力をもらってて、逆にポケットサポートへ力を与えるために寄付を頑張ってるの。
もうなんだか、私がポケサポの「お父さん(大黒柱という意味)」っていう気持ちくらいになってきてるんよ。お父さんがんばるから、ポケサポ、子どもたちのために頑張って!
これからの未来について
時間を忘れて話が盛り上がり、スタッフのエバンジェリスト下川たちが事務所へやってきて、彼らも秋山さんからいろんなお話を聞くことができました。
学習支援の先には、きっと働くってことも大切になってくるでしょ。私はこれからそれを作っていきたいの。ポケサポにくる子どもたちみたいに、病気を抱えた若い子たちが働ける場所を。治療を続けながら、生活を続けていけるように。
そのために、就労支援センターにも登録をしたりしながら進めているところ。みんなも必要だと思うでしょ?
スタッフも秋山さんの勢いやその熱い思いに呼応して、一同にうなずいてました。
みなさんからいただいた寄付や助成金で運営しているポケットサポートの活動についても前年度の活動報告の資料や、これからの事業計画なども話をしました。
寄付がこうやって使われていて安心してるよ。
いつもニュースレターが届くたびに「頑張ってるな〜私もやらなきゃ!」って思うから。ありがとう。あと、寄付の手紙くれて・・三好くん、字が上手になったよね(笑)
一度、このバリアフリーの事務所も見に来たかったから、今日は来られて良かったです。本当に子どもは子どもらしくいないといけない。そこが病院であろうと。
だから、その場所を提供しようと頑張っているポケサポは応援し続けるよ!
これからは、未来をつくっていくしかないからね。作るよ!ポケサポの子たちが働ける場所も!お父ちゃん(注意※秋山さんは女性)はがんばるよ!
秋山さんは、力強く語ってくださいました。最後には熱く肩を組んで。
これからも思いを同じくした、素晴らしいタッグとして進んでいきたいです。
後編まとめ
前編・後編と2つに分けて秋山さんのインタビューを記事にさせていただきました。最後までご覧いただきありがとうございます。
娘さんが教えてくれた「大切なこと」がいっぱい詰まっていましたね。大切なかけがえのない我が子は、病気であっても一人の子ども。子どもらしく遊んだり、友達と交流したり、兄弟とケンカしたりしながら成長していきます。そしてコミュニケーションの取り方や、大人と接することを学ぶと思います。
今回の記事を、ぜひ多くの当事者の方にご覧いただいて勇気を持っていただきたい。そして、簡単ではないですが前向きに考えるきっかけにして頂ければ嬉しいです。
秋山さんの娘さんからポケットサポートもたくさん学ばせていただき、力を頂きました。私たちポケットサポートの活動は始まったばかりです。これからも一人でも多くの子どもたちが将来への希望を持ち、自分らしく暮らせる社会になるよう頑張っていきたいと思います。
応援コメントをお待ちしています