寒い季節が迫るなかですが、学校での寒さ対策は十分にできていますか?
快適な環境で過ごせるかどうかは、生徒の健康や学業に大きく影響します。寒さを我慢することがもたらすリスクも無視できません。特に、病気療養児の復学直後である場合は、合理的な配慮が必要になります。
では、どのような配慮が学校ででき、生徒自身が実践できるのでしょうか?
本記事では、学校での寒さ対策をご紹介します。
学校での防寒対策は制限されている?
日本教育新聞「児童・生徒の防寒対策柔軟に」では、新型コロナ感染再拡大に伴い、文科省が緊急事態宣言を受け、学校での防寒対策に関する通知を行ったことが記載されています。
通知では、学校での防寒対策などについての具体的なガイドラインが示されました。これは逆に考えれば、今までは学校での防寒対策には厳しい制限があったことが分かります。
通知により防寒対策への柔軟性が増したとはいえ、依然として課題が残っていることも軽視できません。特に、校則や校内ルールの変更に関する課題が浮き彫りになりつつあります。
通知では、防寒対策として、コートや毛布の使用が言及されていますが、これに関する校則の緩和が進むかどうかは各学校の判断に委ねられているのです。
寒さを我慢するリスク
学校での防寒対策に制限をし、子どもたちに我慢をさせることには、多くのリスクがあります。
具体的なリスクは以下の通りです。(参考:なんとかしたい体の”冷え”~様々な不調は冷えサイン?!~)
- 風邪をひく
- むくみ
- 耳鳴り
- 胃痛
- 胸やけ
- 便秘や下痢
- 肩こり
- 腰痛
実際に、Ellen F. Foxman氏らの研究では、寒さは人間の免疫能力に影響を与え、風邪をひくリスクを高めていると証明されています。
特に、病気療養児の場合、健康な生徒たちよりも風邪をひくリスクが高まるので、より寒さ対策への配慮が必要です。
学校での寒さ対策10選
学校での寒さ対策を、生徒個人でできるものと学校側が配慮できるものに分けてご紹介します。
生徒個人でできる対策
生徒個人でできる対策は以下の通りです。
- ブランケットをかける
- カイロを使う
- マスクをつける
- ヒートテックを着る
- 暖かい飲み物を定期的に飲む
- 椅子にクッションを置く
- マフラーやネックウォーマーをつける
- 長い靴下やレッグウォーマーを履く
- 普段の食事に気を遣う
ブランケットをかける
寒い教室での学習に備えて、軽量かつ暖かいブランケットを用意すると、快適な学習空間を確保できます。自分の体温を逃がさず、寒冷な気温に対抗しましょう。
ブランケットは、膝にかける・肩にかける・お腹に巻くなどと、さまざまな使い方ができるので、1つ持っておくと重宝するはずです。
カイロを使う
ポケットや机にコンパクトなカイロを忍ばせておくと、急な冷え込みにも対応できます。貼るカイロは、貼る場所を選ぶと、効果的に温まります。例えば、太い血管のある首の後ろに貼ると全身が効率的に温まるでしょう。
足元の冷えが気になる場合は、足の太い血管がある足首に貼ると効果的です。
参:KINCHO 使い捨てカイロ 温まる仕組み / 貼る場所による効果的な使い方
マスクをつける
寒い季節はもちろん、感染対策としても有効なマスク。暖房のきいた教室での長時間の着用も、快適な温かさをキープできる一石二鳥のアイテムです。
ヒートテックを着る
薄手かつ保温性の高いヒートテックは、学校内での動きやすさと防寒対策を兼ね備えています。冬場は、制服の下に着て、寒さ対策をしましょう。
暖かい飲み物を定期的に飲む
外側からの寒さ対策ももちろん大切ですが、内側からの対策も忘れないようにしましょう。こまめに暖かい飲み物を摂ることで、体温を一定に保てます。保温性のある水筒に暖かい飲み物を入れておくと良いでしょう。
学校内に自動販売機がある場合は、暖かい飲み物を選ぶように心がけるのがおすすめです。
椅子にクッションを置く
座る時間が長い授業中、椅子にクッションを敷くことで冷たさからくる不快感を和らげます。姿勢も保ちやすく、冷えにくい状態を作り出します。
マフラーやネックウォーマーをつける
首元をしっかりと温めることで全身の冷えを軽減します。マフラーやネックウォーマーを活用して、寒冷な季節でも暖かさを確保しましょう。
長い靴下やレッグウォーマーを履く
制服の下に長めの靴下やレッグウォーマーをプラスすることで、足元から冷えをシャットアウト。太い血管のある足首からの冷えを対策することで、効率的に防寒できます。 授業中は長い時間座っていることも多いため、足に血液がたまりやすいです。足元の冷え対策は、万全にしておきましょう。
普段の食事に気を遣う
冷え対策の1つとして、普段の食事に気を遣うことも大切です。栄養を摂りながら、体を温かく保つ食事に心がけましょう。体を温める効果のある食材を積極的にとると良いです。
学校側で配慮できる対策
次に、学校側で配慮できる対策をご紹介します。
- 暖房設備を設置する
- 衣服の配慮を行う
- 断熱内窓を設置する
暖房設備を設置する
学校側が配慮できる寒さ対策の1つとして、十分な暖房設備の整備が挙げられます。文部科学省が発表している公立学校施設の空調(冷房)設備の設置状況について(令和4年9月1日現在)では、令和4年9月時点での、小中学校の空調設備の設置状況は以下のようになっています。
設置率 | |
普通教室 | 95.7% |
特別教室 | 63.3% |
体育館など | 15.3% |
文部科学省のデータに示された通り、学校の暖房設備の整備は進んでいます。しかし、特別教室や体育館などの設置率がまだまだ低い実情が浮かび上がります。
体育館では体を動かすとは言え、冷えからくるリスクが高まることが心配されます。今後は特別教室や体育館など、あらゆる学習空間においても適切な暖房設備を整備していく必要があるでしょう。
衣服の配慮を行う
制服や校則に柔軟性を持たせ、寒冷な気温に対応できるような衣服を許容する配慮が必要です。厳しい規定を緩和し、生徒たちが自身の健康管理をすることで、健康的な学校生活ができるでしょう。
例えば、鹿児島県では、コート禁止の校則が多いとNHKのかごしまWEB特集で言及されていました。理由について明確に把握している学校はなかったとも書かれています。
「昨年もそうだったから今年もそうしよう」ではなく、各学校ごとに校則を見直す必要がありそうです。
参考:鹿児島県に多いコート禁止の校則 なぜなのか調べた その結果は(NHK)
断熱内窓を設置する
寒冷な気温が侵入しにくい断熱内窓の設置は、教室内の温度を一定に保つために有益です。これにより、窓際や壁際でも快適な学習が可能になります。断熱性の向上は、学校環境全体の質を向上させる一環です。
参考:国が推奨し、WHOも勧告している最適な“教室環境”の実現に向けて
まとめ
学校での寒さ対策はいまや、文部科学省や学校が積極的に改善に取り組んでいます。生徒個人ができる対策もたくさんあります。しかし、寒さによる生徒や教員への健康リスク想定されるため、やはり学校全体で配慮できるところは、積極的に見直す必要があるでしょう。
特に、病気療養児に関しては、健康な生徒よりも健康被害を受けやすいです。学校は、さまざまな事情を抱えている生徒が在籍する場所です。今までの校則に縛られず、合理的な配慮をしていく必要があるでしょう。
寒い季節だからこそ、学校全体で協力し合い、生徒たちに暖かい学びの場を提供できるといいですね。